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日本市場で目覚ましい成長を遂げるグローバル家電ブランド-VeSync

日本市場で目覚ましい成長を遂げるグローバル家電ブランド-VeSync
筆者:吉川真人 様 記事の出所はこちら

COSORIの挑戦と日本市場への深耕戦略“ひと・もの・場所”と「安心感」で描く外資企業の成功方程式と、日本企業への示唆


日本市場で目覚ましい成長を遂げるグローバル家電ブランド「VeSync」。そのアジア太平洋ブランドマネージャーであるRhea Liao氏は、日本への深い愛情と、独自のマーケティング哲学で、お客様の「安心感」を追求してきました。本記事では、彼女の言葉から、外資企業が日本で成功するための秘訣、そして激動の時代において日本企業が取るべき共存戦略を深掘りします。

目次


1. 導入:日本を愛するRhea氏との対話が示す、外資成功の鍵


吉川: Rhea様、本日はお忙しい中、貴重なお時間をいただきありがとうございます。私のnoteでは初めてとなる企業インタビュー記事として、VeSync(ウィーシンク)のアジア太平洋ブランドマネージャーでいらっしゃるRhea様にお話を伺えることを大変光栄に思います。

本日は、Rhea様のプロフィールを簡単にご紹介させてください。

Rhea Liao氏のプロフィール画像

VeSync(ウィーシンク) アジア太平洋ブランドマネージャー:Rhea Liao

  • 日本在住歴5年
  • アジア各国での経験を持ち、日本市場でのブランドマーケティングに10年間携わる
  • 成功事例を通じてブランド認知を高め、その成功をアジア太平洋地域全体に展開中

Rhea様が率いるCOSORIブランドは、今や日本市場で驚異的な成長を遂げています。本日はその成功の秘訣、そして激動の家電市場において日本企業がどう向き合うべきかについて、ぜひ深く掘り下げさせていただければと思います。

Rhea氏: 吉川様、こちらこそありがとうございます。このような機会をいただき大変光栄です。日本は私にとって第二の故郷のような場所で、ビジネスを離れても、その文化や人々の温かさに深く魅了されています。特に日本の「おもてなし」の精神や、お客様の期待を超えるサービスへの探求心には、常に感銘を受けてきました。

私たちVeSyncの日本市場戦略の根底には、そうした日本独自の価値観へのリスペクトがあります。私たちがどのようにしてこの市場に挑み、お客様に「安心感」を提供してきたのか、そしてこれからの日本企業との共存について、私の考えを包み隠さずお話できればと思います。


2. 会社紹介:グローバル企業VeSyncが持つ4つのブランドと日本での戦略


吉川: まずは、VeSyncグループ全体の事業概要からお聞かせください。そして、COSORIだけでなく、傘下の4つのブランドがそれぞれどのようなミッションを持って日本市場で展開しているのか、教えていただけますでしょうか。

Rhea氏: はい、VeSyncは2011年にアメリカで設立された小型家電製品のグローバル企業です。当初は北米市場をメインに製品開発と販売を開始しましたが、より効率的なサプライチェーンとグローバルな市場展開を見据え、2013年には中国本社を設立しました。現在は中国を拠点に、世界中の市場でビジネスを加速させています。

VeSyncの世界的な事業展開を示すイメージ図

組織としての規模は、現在約1,300名の社員を擁し、2024年には年間売上が約964億円に達しました。2020年末には香港証券取引所に上場を果たし、グローバル企業としての安定した基盤を確立しています。

VeSyncの傘下には、それぞれ異なるコンセプトとミッションを持つ4つのブランドが存在します。


COSORI(コソリ)

こちらが本日の主役でもある、キッチン家電に特化したブランドです。特にノンフライヤーは弊社の代名詞とも言える製品で、日本市場におけるVeSyncの成長を最も力強く牽引しています。

COSORIの開発背景には、「忙しい現代人にも、手軽に美味しく健康的な食生活を提供したい」という強い思いがあります。

単なる揚げ物調理器としてではなく、多機能性と直感的な使いやすさを追求することで、日本の食卓に新しい風を吹き込むことを目指しています。後ほど詳しくお話しますが、レシピの充実やサポート体制の強化を通じて、お客様の料理体験全体を向上させることに注力しています。

Levoit(レボイト)

季節・空調家電、特に空気清浄機に強みを持つブランドで、アメリカ市場ではすでに市場シェアNo.1を獲得しています。

このLevoitは、現代のライフスタイルにおける「空気の質」への高まる意識に応えるために開発されました。

特に、花粉やPM2.5といった一般的な空気の悩みに応える高性能フィルターを搭載しつつ、日本では、ペットを飼うご家庭に深く寄り添う戦略を取っています。例えば、独自の「ペットモード」を搭載し、ペットの毛やニオイに特化した空気清浄機能や、ペットが触れても安全なチャイルドロック機能などを備えることで、ニッチなニーズにも丁寧に応えています。

日本の空気清浄機市場には、シャープやダイキン、パナソニックといった強力な国内メーカーが長年存在していますが、私たちは「スマートホーム連携」や「ペット特化」といった機能で差別化を図り、独自のポジションを確立しています。

 Etekcity(エテクシティ)

パーソナルケア製品、特に体重計などを中心に取り扱うブランドです。Etekcityは、単に体重を測るだけでなく、お客様の健康状態全体を理解し、より良い生活習慣をサポートすることを目的として開発されました。専用のスマートフォンアプリと連携することで、体重、BMI、体脂肪率など、様々な生体データを記録・分析し、お客様が自身の健康目標を達成するための「ヘルスケアのパーソナルパートナー」としての価値を提案しています。日本では健康意識の高い方々が増えており、日々の健康管理をよりスマートに行いたいというニーズに応えるため、データに基づいた健康アドバイスや進捗管理機能を提供することで、お客様に継続的に使っていただけるような製品とサービスを追求しています。

 Pawsync(ポーシンク)

このブランドは、ペット向けのスマート製品を手がけています。Pawsyncは、ペットと飼い主の双方の生活の質を向上させることを目指して開発されました。共働き家庭が増え、ペットを留守番させることが多くなった現代において、飼い主様の外出中もペットが快適に過ごせるよう、自動給餌器や自動給水器、スマートカメラなどを提供しています。

これらの製品は、スマートフォンアプリを通じて遠隔操作やモニタリングが可能で、飼い主様の負担を軽減するだけでなく、ペットの健康管理や孤独感の軽減にも貢献します。日本ではまだ認知度はこれからですが、ペット愛好家が増え、ペットの健康や利便性への関心が高まっている市場において、非常に大きな可能性を感じています。

このように、私たちは各ブランドがそれぞれの専門分野で最高の製品とサービスを提供することで、「よりスマートな製品で繋がったライフスタイルを創造し、より良い生活環境を届ける」というVeSync全体のミッションを達成しようとしています。

日本市場への進出は2019年から本格化しました。当初はAmazonなどのECプラットフォームでの販売からスタートし、市場の反応を丁寧に探っていました。そして2022年からは、本格的にブランド認知とマーケティングに注力し始めました。
同年には楽天公式ストアを開設し、さらに全国1,500店舗以上の家電量販店への進出も開始しました。このオンラインとオフラインを組み合わせた戦略が、現在の成長に繋がっています。


3. 日本市場での戦略と成果:「ひと・もの・場所」がもたらす革新


VeSyncの日本市場戦略を説明する概念図

吉川: VeSync様の多角的なブランド戦略、非常に興味深いです。特にCOSORIノンフライヤーの成功は目覚ましいものがありますが、その根底にある「ひと・もの・場所」という独自の考え方と、「安心感」というキーワードについて、具体的な事例を交えながら詳しくお聞かせいただけますでしょうか。

Rhea氏: はい、承知いたしました。私たちの日本市場戦略は、この三位一体の考え方と「安心感」という価値観に深く根差しています。このフレームワークを通じて、いかにしてお客様の心を掴んでいったかをお話します。

ひと(人):お客様、パートナーとの長期的な「共創」

Rhea氏: まず「ひと」についてです。これは製品を使ってくださるお客様、そして製品の魅力を伝えてくださるパートナー様を指します。私たちは、この「ひと」との関係を単なる取引ではなく、「共創」と捉えています。

COSORIノンフライヤーのメインターゲットは、35歳から53歳の子育て世帯、特に忙しい共働きのご家庭です。彼らは日々の家事、特に料理にかける時間を少しでも短縮したいと願っています。

家族でCOSORI製品を使用する様子を表すイメージ

そこで私たちは、ノンフライヤーを「揚げ物専用の家電」という従来のイメージから脱却させ、多機能性を前面に打ち出しました。焼き魚、パン、低温調理、ヨーグルト発酵、ドライフルーツなど、一台で何役もこなせる「料理のレパートリーを広げる時短ツール」として提案することで、忙しいご家庭のニーズに深く響かせました。

このメッセージを伝えるために、私たちは日本人料理家やインフルエンサーの方々との長期的なコラボレーションを非常に重視しています。単発のPRではなく、継続的なパートナーシップを通じて、彼らが実際にCOSORIの製品を使い、日本の食文化や食のトレンドに合わせたオリジナルレシピを開発・発信してくださいます。

これは、単に製品を紹介するだけでなく、お客様が「この製品を使えば、こんな美味しい料理が作れるんだ」という具体的なイメージを抱けるようにするためのものです。

料理家がCOSORI製品を使って料理を作る様子

レシピサイトの「クラシル」様や「ナディア」様、Instagram、X、YouTube、TikTokといった様々なSNSを活用し、多角的に情報を提供することで、お客様との接点を増やし、共感を生むコミュニケーションを図っています。こうした地道な活動が、製品への「信頼」とブランドへの「安心感」を醸成しているのです。

もの(製品):日本基準の「品質」と細部への「デザイン」への徹底したこだわり

Rhea氏: 次に「もの」、すなわち製品そのものへのこだわりです。私たちは、海外で成功した製品をそのまま日本に持ち込むことはしません。日本のお客様が持つ「国産品=安心感」という価値観を深く理解しているからです。この安心感に匹敵する、あるいはそれを超える製品を提供するために、私たちは徹底したローカライズと品質管理を行っています。

製品の安全性認証の取得はもちろんのこと、日本の家庭の使い勝手を考慮したユーザーインターフェースや機能、そして日本の居住空間に調和する洗練されたデザインにも深く注力しています。

特に「COSORI TurboBlaze 6.0Lノンフライヤー」は、お客様の声から生まれた製品です。
従来の製品に対して「もう少し静かになると嬉しい」というフィードバックを多数いただき、私たちは即座に製品開発チームと連携しました。
その結果、DCモーターを搭載することで、調理効率を38%も向上させながら、同時に静音性も大幅に改善することに成功したのです。コンパクトながら大容量で多機能、かつ高い安全性を備えることで、日本のお客様が求める品質と機能性を高次元で両立させました。

COSORI TurboBlazeノンフライヤーの製品写真

また、デザイン面でも妥協はありません。グッドデザイン賞の取得など、客観的な評価を得ることで、消費者の皆様に安心して選んでいただけるよう努めています。製品そのものの品質と機能性、そしてデザインへのこだわりが、信頼の基盤を築いているのです。

場所(接点):リアルとオンラインが織りなす「体験」の提供

Rhea氏: 最後に「場所」です。これは、お客様と製品が出会う接点、つまり販売チャネルと製品体験の場を指します。私たちは、オンラインでの販売を主軸にしながらも、家電量販店への展開を非常に重視しています。全国1500店舗以上に製品を置くことで、お客様が実際に製品を見て触れる機会を提供し、オンラインだけでは伝えきれない質感や操作感を体験できるようにしています。

さらに、ただ製品を置くだけでなく、家電量販店の店頭での調理デモイベントや、製品を使った具体的なレシピ提案スペースを設けることで、お客様がご自身のライフスタイルに製品を取り入れるイメージを膨らませられるよう工夫しています。例えば、「このノンフライヤーがあれば、忙しい平日でも簡単に美味しい一品が作れるんだ」といった、具体的な「体験価値」を店頭で提供することを意識しています。

このように、リアルとオンラインの両面で顧客接点を最適化することで、単なる価格競争に陥ることなく、製品を通じた感動や利便性を提供し、お客様との長期的な関係を構築することを目指しています。

吉川: まさに、綿密に練られた戦略が、驚くべき結果に繋がっているのですね。2022年の市場シェア約20%から、わずか3年間で約50%にまで成長されたという数字は、この戦略の成功を如実に物語っています。VeSync様の日本市場での年収増加率が2022年47%、2023年64%と非常に高い成長を示しているのも、納得です。


4. 外資企業の日本進出成功の条件:お客様の声に寄り添う三位一体戦略


吉川: 日本市場では「国産=安心感」という価値観が根強く存在するというお話、大変腑に落ちました。海外ブランドがこの「安心感」を獲得するために最も重要だとお考えの点、そして実際にお客様の声からどのように改善に繋げているか、具体的な事例を交えて詳しくお聞かせいただけますでしょうか。

Rhea氏: はい。私たちが日本市場で成功する上で最も重要だと考えているのは、やはり「製品力」「サービス」「ローカライズ」の三位一体が常に高いレベルで機能していることです。
日本のお客様が求める「安心感」は、単に製品の機能が良いということだけでなく、品質、安全性、そして購入後のきめ細やかなアフターサービスといった実体的な要素に強く裏打ちされています。海外ブランドがこの「国産」の安心感に匹敵する、あるいはそれを超える「信頼基盤」を構築できるかどうかが、企業の存続を左右する鍵だと考えています。

VeSyncの顧客満足度向上の取り組みを表すイメージ

単なる価格競争や大規模な広告投下だけでは、一過性のブームで終わってしまう可能性があります。むしろ、製品の品質はもちろんのこと、きめ細やかなアフターサービス、日本のお客様の声を吸い上げて製品やサービスに反映させるローカライズの徹底、そして日本人スタッフによる丁寧なカスタマーサポートなど、長期的な視点での顧客接点づくりが不可欠です。
私たちは2年保証や24時間以内のサポートセンター対応(もちろん日本語対応です)を徹底することで、購入後の不安を払拭し、お客様が安心して製品を使い続けられる環境を提供しています。

具体的な例を挙げますと、先ほども少し触れましたが、COSORIノンフライヤーの操作音に関して「もう少し静かになると嬉しい」というお客様の声を多数いただいたことがあります。
これに対して、私たちは迅速に対応し、製品開発チームと連携して、DCモーター搭載モデルの開発を加速させました。お客様からのフィードバックは、私たちにとって最も重要な情報源であり、製品改善の羅針盤です。

また、Levoitの空気清浄機についても、お客様からの具体的なフィードバックが製品改善に繋がった事例があります。特に日本ではペットを飼われているご家庭が非常に多く、「ペットの毛やニオイをしっかりと除去できるか」「フィルター交換は簡単か」といった声を多くいただいていました。

そこで、私たちは空気清浄機のフィルター構造を見直し、より効率的にペットの毛をキャッチできるプレフィルターの改良を行いました。
また、フィルター交換の手順をさらに簡素化し、誰でも直感的に行えるよう設計を見直しました。こうした改善は、お客様が製品を日常的にストレスなく使い続けられるために非常に重要です。お客様からのフィードバックは、私たちにとって最も重要な情報源であり、製品改善の羅針盤です。

さらに、「レシピの種類をもっと増やしてほしい」という要望に対しては、日本人料理家の方々との連携をさらに強化し、日本の食卓に合うオリジナルレシピを継続的に開発・提供しています。アプリのレシピコンテンツを充実させるだけでなく、紙のレシピブックも同梱するなど、お客様の利用シーンに合わせた形で情報提供を行っています。

COSORIのレシピブックの例

保証期間についても、お客様が安心して長く使えるよう、業界標準を超える2年保証を導入しています。万が一のトラブルの際も、24時間以内の日本語対応サポートを徹底することで、お客様の不安を迅速に解消し、「困った時に頼れる」という信頼感を醸成しています。こうした地道な努力こそが、単なる「売上」に留まらない「安心感」の獲得に繋がっているのです。


5. 日本企業はどう向き合うべきか:危機感を機会に変える「独自な思考」とAI時代の共存戦略


吉川: 貴社の成功事例は、日本企業にとって大きな示唆を与えていると感じます。中国企業を始めとする外資企業の日本進出が加速する中、日本企業はどのように彼らと対峙していくべきか、Rhea様のご意見をぜひお聞かせいただけますでしょうか。特に、「独自な思考」やAI時代における共存戦略という点について、詳しく伺いたいです。

Rhea氏: 私の個人的な経験から言えるのは、日本企業が単に外資企業の進出を「脅威」として危機感を持つだけでなく、彼らの強みを冷静に理解し、それらを自社の独自性と掛け合わせる戦略が必要だということです。これは、一方的に競争するだけでなく、協業や棲み分けといった多様な選択肢を視野に入れることを意味します。

日本企業が外資企業と対峙する上で考えられる主な対応策は、大きく分けて3つあるかと思います。

  1. 協業: これは、合弁事業、代理店契約、販売パートナーシップなどを通じて、お互いの強みを活かした協力関係を築くことです。例えば、外資の製品開発力と、日本の強力な販売網や長年にわたるブランド力を組み合わせるなど、ウィンウィンの関係を築く可能性があります。

  2. 競争: これは、自社の明確な差別化領域を見出し、その分野で直接的に競争する道です。外資には真似できない独自の技術やサービス、あるいは長年培ってきたブランドイメージをさらに磨き上げることが求められます。

  3. 棲み分け: 特定のニッチ市場に特化し、独自のポジションを確立することです。大手がカバーしきれない細分化されたニーズに応えることで、確固たる顧客基盤を築くことができます。

私が特に重視しているのは、これらの選択肢を「独自な思考(インディペンデント・シンキング)」を持って見極めることです。現代はAIが発達し、情報収集が非常に容易になりました。しかし、AIはあくまで情報を効率的に獲得するためのツールにすぎません。
AIが提示する観点や考えをそのまま鵜呑みにするのではなく、それをあくまでも一つの情報として捉え、自分自身で独自の思想や判断を加えられるかどうかが、今後はより一層重要
になってきます。その「判断力」こそが、AI時代に求められる最も重要な能力だと考えています。

このAI時代の到来により、多くの仕事がAIに代替される可能性が指摘されていますが、私は「AIを使う立場になること」の重要性を強調したいです。これは単にAIをツールとして利用するだけでなく、AIが生み出す情報や観点を鵜呑みにせず、自らの「判断力」を持って活用することの重要性を示しています。
「もし、まずそういう気づきをしなければ、その変化は誰からもできないので、自分から行くしかないんですね」という私の言葉は、この変革期における個人の主体的な行動の必要性を力強く訴えかけます。

思想的背景:「品質」と「スピード」の融合、そして共創の時代へ

日本企業が持つ「国産」の安心感という強みは、その製品の「品質」と「職人精神」に深く裏打ちされています。これは世界に誇れる素晴らしい強みです。しかし、この強みを活かしつつも、同時に変化への対応スピードを上げる必要があると私は考えています。

「ひと・もの・場所」の視点から日本企業を再定義すると、以下のようになるでしょう。

  • 「ひと」: 顧客やパートナーとの長期的な「信頼構築」を最優先することです。これは、日本の商習慣にも合致する、日本企業が伝統的に得意とする強みです。ここをさらに深掘りすべきです。

  • 「もの」: 市場ニーズに合致した製品を開発し、国産級の「品質保証」を徹底すること。これは既に日本企業が得意とするところですが、さらに顧客の潜在的なニーズを引き出すようなイノベーションを追求すべきです。

  • 「場所」: リアル・オンライン両面での「体験提供」を強化し、顧客との多角的な接点を創出することです。従来の家電量販店での展示に加え、オンラインでのインタラクティブなコンテンツ、例えばライブコマースやVRでの製品体験なども積極的に取り入れるべきでしょう。

日本企業は、伝統的な「職人精神」に基づく高い「品質」を維持しつつ、外資企業の持つ「スピード感のあるマーケティング」や「データに基づいた迅速な意思決定」を柔軟に取り入れることで、外資に対抗し、あるいは共存できる強固な土台を築くことができるはずです。これは、一方的に脅威と捉えるのではなく、互いに学び合い、高め合う機会と捉える「独自な思考」が求められます。


6. 結び:未来へ繋ぐ「安心感」の価値と、共創の時代へ


吉川: Rhea様、本日は本当にありがとうございました。VeSync様が日本市場で成功を収めている背景には、「ひと・もの・場所」という緻密な戦略と、日本のお客様特有の「安心感」に対する深い理解があったことがよく分かりました。
特に、Rhea様ご自身が日本を愛し、その文化を尊重されているからこそ、お客様の心を掴むことができているのだと強く感じました。本日の対談を通じて、日本企業が外資企業との関係を「脅威」から「機会」へと変換するための、多くの示唆をいただけたと思います。最後に、読者の皆様へのメッセージをお願いいたします。

Rhea氏: 吉川様、こちらこそありがとうございました。今回のVeSync、そしてCOSORIの事例は、「ひと・もの・場所」という普遍的なフレームワークと、日本市場特有の「安心感」というキーワードが有機的に連動した、まさに成功の方程式であると確信しています。

外資企業が日本市場でこの「安心感」を獲得するためには、単に高品質な製品を提供するだけでなく、購入前から購入後まで一貫した質の高い「サービス」と、日本のお客様に徹底的に寄り添う「ローカライズ」が不可欠です。私の言葉は、これからの時代、情報が溢れる中で、いかに顧客に「安心」を届け、長期的な「信頼」を築けるかが、企業の存続と成長の鍵であることを示唆しています。

そして、日本企業もまた、この「安心感」という強みを再認識し、外資企業の持つスピード感やデータ活用といった強みを柔軟に取り入れることで、新たな価値創造の機会を見出すことができるはずです。私は、外資との関係を「脅威」から「機会」へと変換し、共に市場を創造していく可能性を信じています。本日の対談が、読者の皆様にとって、未来への一歩を踏み出すための示唆となれば幸いです。

吉川: Rhea様、本当にありがとうございました。

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